工房です。

本日は液晶モニタの修理案件です。部品の再半田づけとトランジスタ、コンデンサー交換で修理できました。
対象は普段メンテナンス用に使用している弊社のLCDモニタ DELL 社の E173Fp です。メンテナンスでお預かりしているデスクトップ PC につないで表示している時に突然、映らなくなってしまいました。電源ランプが緑色で点滅しています。コンセント抜き差ししても変わらない!!。

Google で調べて見ると、このモニタは BenQ 社の OEM【製造はBenQでブランド名は DELL 】ということがわかりました。
このモニタ系列はベストセラーといって良いくらい大量に市場にあるので修理に関する情報もたくさん。緑点滅は、内部の部品が劣化している場合に起きやすいとわかりました。

どうやら、コイルの半田不良⇒トランジスタに異常な負荷がかる⇒トランジスタ破損⇒その衝撃でコンデンサー破壊という故障で多くの不良モニタがあるが、他の部分【液晶パネルそのもの】はまだまだ使えるものが多いとのこと。

ちょっと専門的ですがプリント基盤の製造工程で半田付けをする際に「熱容量」の大きいコイルなどの部品に十分な加熱がされず半田が適切についていないことが原因のようです。日本の工場ではこの点を考慮したベテラン職人さんが上手に創りますが海外では難しいのでしょう。手作業で半田を追加することで症状が解決できる場合が多いらしいです。

新しいモニタに移行を考えていましたが修理する気になってきました。
最初は、半田のやりなおしから。分解して目に付くところを再半田しましたが残念ながら部品も破損している模様。
ところが部品が入手困難。 もともとついていた 2SC5707 というトランジスタは秋葉原では入手困難。代替の2SC5000も入手できない。しかしネットは広いもので大量に 2SC5707 を持っていらっしゃる方が安価に分けてくれているサイトを発見。手に入れることが出来ました。

トランジスタは同じ型番で多くのメーカが創っていることが多かったのですが今はどうなのかなぁ。
該当のトランジスタ4個とフィルムコンデンサー【赤色丸の部分】

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コイルのところが半田不良であるらしいので【緑色丸の部分】再半田

組み立て直して、電源を入れると、ちゃんと映りました。!! ホット一息。

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気を良くして、ずっと倉庫に眠っていた DELL社モニタ 1704FpV もやってみました。こちらは深刻で低ESR型コンデンサの部品が異常となる「不良電解コンデンサ問題」です。
この「不良電解コンデンサ問題」はIT機器の製造業では一時期深刻な問題となっていました。あるメーカが製造した部品の寿命が極端に短いために1年ちょっとで故障した機器が数多く出現。リコールもされずにひっそりと引退した機器の多くがこの「不良電解コンデンサ」による故障なんです。 一個数十円ほどの部品なのでリコール費用が捻出できず製造メーカは断念したと思われます。部品メーカを価格で競争させた製造メーカにも責任の一端はあると私は思います。

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わかりますか? 赤色でマークしたところは膨張してしまい、本来の性能を出せていません。

こちらを合計7個交換しました。しかし、トランジスタ【正確にはFET】も破損していたようで、組み立て直しても映りませんでした。部品が手に入ったら再度挑戦します。

ちょうど、この修理をやっているタイミングで子ども達が勉強会に来たので、修理しているところを公開しました。
最近の子ども達は機器の内部を観る機会が無いので興味津々。「故障しても修理したらまた使えるんだぁ」と。昔は何でも修理して使っていたものです。子ども達のためにも手間がかかっても「修理」ということを伝えていきたいと思っています。


工房 はっとり

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